Q.相続では「遺産分割が終わらないうちに相続人が亡くなってしまう」ことがあります。
そんなとき、遺留分の計算にどう影響するのでしょうか?
今回は、以下の設例をもとに考えていきます。
(設例)
甲が死亡して相続が発生しました(以下「一次相続」といいます)。
甲の相続人:乙・丙・丁
一次相続の遺産分割が未了のまま、今度は相続人の乙が死亡しました(以下「二次相続」といいます)。
乙の相続人:丙と丁
なお、乙は「財産はすべて丙に相続させる」との遺言を書いていました。
そこで、丁が丙に遺留分を請求した場合、その遺留分の計算(遺留分の基礎となる財産)に「乙が一次相続で得るはずだった相続分(甲の遺産)」も含まれるのか?
という問題です。
この点、「乙が一次相続で得るはずだった分」は、二次相続発生時に、現実には取得されていないため、これを計算に含めるのはおかしいという学説もあります。
最高裁の判断(最三小決平成17・10・11民集59巻8号2243頁)
結論から言うと、最高裁の判断は、「乙が一次相続で得るはずだった相続分」も遺留分の計算に含みます。
なぜなら、未分割の遺産も法定相続分で遺産共有の状態にある具体的権利であると考えることができるからです。
このように遺留分の計算は、実はとても複雑であるため、弁護士に対して、法律相談をすることをおすすめします。
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