配偶者が亡くなったときの遺産分割協議

Q.先日、夫が亡くなりました。夫と私の間には2名の子供がおり、いずれも未成年者です。夫の遺産としては、自宅である土地・建物と預貯金があります。子供はまだ小さいですし、自宅は私名義にして、お金は子供たちに相続させたいと思っています。私が親権者ですので、子供たちに代わって、このような内容の遺産分割協議書を作ってもいいでしょうか?

A.遺産分割協議をする場合、お子さんたちには特別代理人を選任する必要があります。

 たとえ、貴方がお子さんたちを大事にしていたとしても、この遺産分割協議では、貴方とお子さんたちの間は「利益相反」という関係にあります。

 利益相反とは、法律行為自体や外形からみて、親権者の利益になるが未成年者にとっては不利益になる行為をいい、具体的な点は考慮しません(したがって、貴方の考える遺産分割協議の内容がいくらお子さんにとって有利でも利益相反の関係に立つ、ということになります。)。こういった場合、お子さんに対して「特別代理人」を選任しなければなりません。

 

 特別代理人とは、親権者と未成年者が利益相反の関係に立つ場合、親権者に代わって、お子さんのために法律行為をしてくれる人のことです。

 この特別代理人を選任するには、家庭裁判所に申立をする必要があります。なお、子が複数名いる場合は、子それぞれに「特別代理人」をつける必要がありますので、今回は2人の特別代理人が必要となります。

 

 もし、この特別代理人を選任しないまま遺産分割協議書を作ってしまった場合、貴方の行為は無権代理行為となります(民法108条2項)。この場合、お子さんが成人して、遺産分割協議の内容を認めなかった場合(追認しなかった場合)、無効となるリスクがあります。

 きっと、貴方はお子さんに不利な内容で遺産分割をすることはないでしょうが、そうであればこそ、適切な手続を行って、皆にとって安心できる遺産分割協議をしておく必要があると思います。

 

 当事務所では、このような遺産分割協や特別代理人の選任に関する、法律相談・業務として対応しております。どうぞお気軽にご相談ください。

 

**(料金の目安)**  

- 法律相談:30分 6,000円(税込)〜  

- 特別代理人選任の申立:110,000円(税込)〜