亡くなった日に婚姻届を提出した

Q.夫が亡くなりました。夫とはずっと内縁関係にあり、籍を入れていなかったのですが、昨年病気を患い、先月から入院していました。容体が悪くなっていく中、やはり籍を入れたいと夫から申し出があり、夫の兄弟とも相談して、婚姻届を出すことにしました。夫はもう自力で婚姻届を書くことができないので、夫の兄弟が代筆し、翌日の朝早くに提出してくれたのですが、夫は未明ころから昏睡状態になり、婚姻届提出後に亡くなりました。しかし、夫の母が「届出のとき意識がなかったのだからこの結婚は無効だ」と言っています。結婚は無効になるのでしょうか。

A.婚姻が成立するためには婚姻の意思が必要ですが、本件の場合、婚姻届を作成するときには意識があったものの、届出時には意識がなかったことから、婚姻意思があったといえるかが問題になります。

 基本的には、婚姻届の作成時に婚姻意思があり、届出の時までこれが継続していることが必要ですが、最高裁判所は同様のケースにおいて、婚姻届が夫の意思に基づいて作成され、作成当時婚姻意思を有していて、夫と妻との間に事実上の夫婦共同生活関係が存続していたとすれば、その届書が当該係官に受理されるまでの間に夫が完全に昏睡状態に陥り、意識を失ったとしても、届出書受理以前に翻意するなど婚姻の意思を失う特段の事情のないかぎり、婚姻は有効に成立したものと解すべきとしています。

 

 したがって、本件においても婚姻は有効に成立したといえる可能性が高いです。

 

 婚姻前の生活状況、婚姻届提出前に亡くなった場合や郵送の場合など様々な状況が考えられますので、婚姻の有効性については弁護士にお尋ねください。