任意後見契約とは

Q.年を取って体力や気力が衰えつつあるので今後が心配です。信頼できる人に後見を頼みたいのですが、どんな方法があるでしょうか。

A.判断能力がしっかりしているうちに、自分が選んだ人に後見を頼む契約を、任意後見契約といいます。これに対して、判断能力が失われた段階で、裁判所を通じて後見人をつける制度を、法定後見といいます。

 前提として、法律上の後見というのは、判断能力が衰えて財産の管理をしたり重要な契約を結ぶのが難しくなった時に、これを代理したりすることで本人の支援をする制度になります。

 

 任意後見契約は、判断能力が衰えたときに備え、誰に、どういう内容の後見を頼むかについて予め契約書を作成しておき、実際に判断能力が失われた際に、家庭裁判所に対して「任意後見監督人」という、任意後見人の仕事を監督する人の選任の申立をし、監督人が選任されたときから任意後見の受任者が任意後見業務を開始する、というものです。

 

 任意後見契約には、即効型、移行型、将来型があります。

 

 判断能力にすでに衰えがある場合などに、任意後見契約締結後すぐ任意後見監督人の選任申立てを行うのが即効型です。

 

 また、任意後見契約と同時に、判断能力が失われる前の段階であっても一定の事象が発生した場合に見守りや財産管理を委任する契約を結んでおき、実際に判断能力が失われた場合に任意後見監督人の選任申立てを行うものを移行型といいます。

 

 将来型は、任意後見契約のみを締結するものです。

 

 即効型は、作成時点で判断能力が十分ではなかったとされ、あとから契約が無効にされてしまう可能性があります。

 また将来型は、判断能力が失われるまでは自身で財産等の管理を行うことになるため、判断能力があっても体力が衰えて動けない場合などに対応できなかったり、任意後見受任者が本人の判断能力が失われたことに気づけず契約発効までタイムラグが生じてしまう可能性があります。

 したがって、委任契約の効力発生時期や委任する内容を自分で決めることができ、委任契約から任意後見契約へスムーズに移行することができる移行型がおすすめです。

 

 任意後見契約にあたっては、公正証書で契約書を作成する必要があります。また、任意後見人、任意後見監督人に対する報酬も発生します。

 

 信頼できる方に後見を任せたいという場合は、後見人や任せる内容を自由に定められる任意後見契約を検討してみてはいかがでしょうか。