Q.私のクリニックの患者さんの検査に異常が出たので、精査を勧めましたが、拒否されています。このまま患者さんが希望する診療だけを続けて良いですか?
A.患者さんに、最悪の場合を含めた予想される経過を説明し、説得を尽くしてもなお、患者さんが検査を拒む場合は、同意が得られる診療を行わざるを得ません。
一般に、医師は、患者の検査拒否を安易に受け入れるのではなく、説明、説得を試みなければなりませんが、患者には自己決定権がありますので、医師が、説明、説得を尽くしても検査拒否の態度が変わらない場合には、それ以上に検査を行うことはできません。他方、患者の自己決定権が常に医師の裁量に優先するものではありません。患者が希望する医療行為が、一般に推奨されていない場合は、当該医療行為を行うかどうか検討をお願いします。
大阪地判平成19年7月30日
医師が、肝機能検査値の異常を認めた患者に対し、C型肝炎ウイルス検査を勧めたが、患者がこれを拒否し、肝臓癌により死亡に至った事案において、医師が予後や治療法を十分説明して、検査を受けるよう説得する義務を尽くさなかったとして病院側の責任を認めた事例
大阪高判平成27年11月11日
医師が、激しい息切れを起こして入院した患者に対し、入院延長の上検査を勧めたが、患者がこれを拒否し退院した後、DICを発症して死亡に至った事案において、患者の症状が重大な疾患による可能性があり、それを鑑別するための検査が予定されていることを伝えず、これを放置した場合の危険性について説明しておらず、患者の自己決定権を侵害したとして病院側の責任を認めた事例
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