Q.再来月に定年退職することになっています。先日、社長に呼ばれ、「定年後の再就職にあたって、ウチと同じような業務をしている会社に就職しないように。」と言われて、その旨の誓約書を書くように言われました。これには、サインしないといけないのでしょうか?
A.ご質問の書面は、いわゆる「競業避止義務についての誓約書」といいます。
競業避止義務とは、従業員やビジネスパートナーなどに対して、特定の期間や条件の下、競合他社への就職や、競合業務の起業を禁止し、会社のノウハウや秘密情報などの流出を防ぐことを目的としています。
一方で、この義務を課されると、従業員等はせっかく得たこれまでの経験を活かすことができず、再就職の選択肢も大幅に制限されることになります。
しかし、競業避止義務を課すことは、会社にとって合理性があるため、従業員等に過度な制限を課さない等、一定の条件をクリアすれば、有効とされています。
しかし、この義務を課されるのは、あくまで会社との契約した場合です。
契約ですから、ご質問者が納得できないのであれば、無理に締結する義務はありません(サインをしなくても大丈夫です。)。
一方、就職するときに、このような誓約書にサインを求められ、契約している場合もあります。このような場合、契約としては有効に成立していることから、原則としては、競業避止義務を守らなくてはなりません。
しかし、競業避止義務の内容によっては、契約が無効となることがあります。
もし、「おかしいな」と思うことがあれば、あきらめずに弁護士に相談することをお勧めします。
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