離婚協議中に財産を処分されないために

Q.離婚の協議をしています。

    既に別居しており、私は子供と共に夫名義の家に住んでいますので、財産分与でこの家を 取得したいと考えています。

  しかし、離婚の話がまとまらないうちに夫が勝手に家を売ろうとしています。

  どうしたらよいでしょうか。

A.勝手に家を処分してしまわないよう、保全手続きを利用することができます。

 離婚の際には財産分与について協議することになりますが、協議中に相手方名義の財産を相手方が勝手に処分してしまわないよう、保全手続きを利用することができます。

 

 離婚協議中であれば、財産分与請求権を被保全権利として、仮に差し押さえる物または係争物が所在する家庭裁判所に対して申立てをします。
 金銭による財産分与を求める場合には仮差押え(民事保全法20条1項)、本件のように現物による分与を求める場合には処分禁止の仮処分(同法23条1項)の申立てを行います。
 申立てでは、保全すべき権利があること(離婚が認められる蓋然性が高いこと、財産分与の請求権があること、本件の場合は現物を取得できる蓋然性が高いことなど)、保全する必要性があること(相手方が財産を処分しようとしていること等緊急性)を主張していくことになります。  
 また、保全命令が出されるときには、担保金を支払う必要がありますが、離婚に伴う財産分与請求については、一般の民事保全の場合の担保金よりも低額なことが多いとされます。 弁護士費用は財産の評価額によって異なりますが、急を要する場合にはまずご相談ください。