迷惑患者の診療拒否

Q.私のクリニックは、通院中の患者さんから、治療結果に不満があるとして、長時間の居座 
 り、謝罪要求をうけています。この患者さんの診療を拒むことはできませんか?

A.医師法19条は医師の応招義務を定めていますが、診療等において生じている迷惑

 行為の態様に照らし、診療の基礎となる信頼関係が喪失している場合には、新たな

 診療を行わないことが正当化されるケースがあります(令和元年12月25日医政発

 1225第4号)。

■東京地判平成26年5月12日

患者が、再三にわたり、長時間病院に居座り、過去の手術について不満を述べ、謝罪を要求していた事情のもと、医師と患者との間の信頼関係は適切な医療行為を期待できないほどに破壊されているとして、診療拒否を正当と判断した事例。

 

■札幌地判令和5年4月26日

救急搬送された患者が、緊急に医学的処置を行う必要性があるとは認められない判断として、医師が帰宅を促したところ、興奮した状態で「納得できない、ここを動かない、帰らない、今すぐ点滴をしてください。」などと述べていた事情のもと、患者の言動は、病院に対する著しい迷惑行為となっていたとして、診療拒否を正当と判断した事例。

 

他方、救急事案において、病院側の賠償責任を認める裁判例もあります(神戸地判平成4年6月30日)。

診療拒否は、医師側、患者側の事情等を総合考慮して、慎重に判断することが必要です。